2021年 01月 10日
その10とひびと収縮
その10 このひび、大丈夫?(その1)
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壁にひびが入っているのを見つけると少し不安になりますね。大切な住まいですからひびが大きくなって壊れてしまうのではないか、雨が入ってしまうのではないか、と心配になるのも当然です。でもひびには深刻なものもあれば材料の性質上やむを得ないものなどいくつかの種類がありますのでその種類と理由を知っていれば慌てず済むこともあります。ひびというのは弱いところに入ります。ひびの原因には大きく分けて①乾燥収縮と②外力によるもの、の2種類があります。②には地震や台風、地盤沈下などの建物全体にかかる力も含まれます。一年を通じて寒暖乾湿の変化が激しく地震や台風にも見舞われるわが国ではこれらの原因そのものを避けることは難しく、したがって建築物はひびを生じさせる力が働くことを前提として入ることが予想されるところにはあらかじめ目地を入れておくなど、できるだけひびが入らない工夫をして建てられています。しかしそれでも完全にひびの発生を防ぐのは難しいものです。まず内装の壁や天井のひびですがこれらは概ね乾燥収縮が原因と思って良いでしょう。内壁にひびが見つかったからといっていきなり家が壊れることはまずありません。一般的な住宅の内壁や天井はボードで下地を作ってビニルクロスや塗装で仕上げています。ボードは畳一枚分ほどの大きさの面材ですので大きな壁面も実は何枚ものボードを継いでいます。継ぎ目は専用のテープで補強して目止め材(パテ)で平滑にし継ぎ目が見えないきれいな面の下地を作っているのです。このボードが吸放湿によって微妙に伸縮しますので特に夏場の多湿な時期に施工すると冬の乾燥でボードが収縮し継ぎ目が強く引っ張られて切れることがあります。仕上げが塗装だと起きやすくビニルクロスだと抑えられやすいのですがそれでもエアコンなどで急激に乾燥するとボードが強く収縮するのでひびが入ることもあります。また収縮なので広い面ほどそのリスクも高まります。
2021年 01月 07日
その9とヒートとポンプ
その9 エアコンの効率を落とさない
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一般的な家庭用エアコンというのはとってもざっくり言うと室外機と室内機の連携で熱を移動させることによって冷暖房をしています。池に溜まった水を抜くためにポンプを使うように熱を汲み出して運ぶのでこの仕組みを「ヒートポンプ」と呼びます。熱を運ぶ役が「冷媒」空気から熱を奪って冷媒に熱を渡したり冷媒から熱を受け取ってまわりに吐き出す役が室外機と室内機です。室内機はお馴染みなのは壁掛けタイプではないかと思いますが夏には室内の空気から熱を奪い取って冷媒に渡しそれによって室内は温度が下がり(=冷え)室外機がその運ばれた熱を受け取って屋外に吐き出(=排熱)します。冬は逆に室外機が外の空気から熱をかき集めて冷媒に渡し室内機がそれを受け取って室内に吹き出すので暖房できます。夏はまだイメージしやすいですけど冬はちょっと不思議ですよね。室外機は冷房時は冷媒が運んでくる熱でどんどん熱くなるのでファンを回して熱を吐き出し暖房の時は熱源つまり空気をかき集めるためにやっぱりファンを回すのでこのファンがちゃんと回ってくれないといい仕事ができません。ですから室外機の周りに物が置かれていると障害物となってエアコンの効率が落ちてしまいます。排気されるファンの前はもちろんですが背面や側面など空気を取り込むところも塞がれないように注意してください(換気の話を思い出してください。空気は入ってこないと出ていかないんでしたよね)。同じような理由で室内機も空気の取り込みがうまくできないと効率が落ちます。だからフィルターをこまめに掃除してあげる必要があるというわけです。できるだけ平易に説明したつもりですがそれでもちょっと今回はややこしい話になってすみません。原理を知ると、お手入れのポイントも意味がわかりやすくなるかと思います。ちなみに夏季の室外機の排熱は外気を暖房しているようなものだと考えるとヒートアイランド現象の原因の一つとされていることも納得だと思いませんか。
2021年 01月 06日
その8とエアコンと空気の流れ
その8 お部屋の空気を上手に動かす・下)
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今回は特に一般的な壁掛け型のエアコンを前提にお話しします。エアコンはお部屋の中で温度調節された空気の、いわば大元の出発口みたいなものですね。その出発口としての役割をうまく利用すると室内の空気を効率よく新鮮に保ったり加湿したりすることができます。エアコンは自分のまわりの空気を吸って温度調節しながら吹き出しています。当たり前ですよね。当たり前ですがその吸われる方の空気は空調される前の温度・湿度です。したがって外気の取り入れ口がエアコンのそばにあれば新鮮な外気を吸ってすぐ温度調節してお部屋の中に取り入れることができます。換気のお話の時に触れましたがエアコンだけでは室内の空気は換気されないので新鮮な外気を入れないといけません。しかし入れ方に気をつけないと新鮮とは言え外気はそのままでは温度調節がされていませんので、せっかく空調したお部屋の温度を乱してしまいます。例えば冬の冷たい外気が室内に入ってくるとしてそれがエアコンのそばならすぐに暖められて吹き出されるので冷たさをあまり感じませんがエアコンから遠い位置だとその辺りは寒くなると思います。つまりエアコンのすぐそばに窓があればそこは外気取り入れ口としては良い位置なのです。平成15年施行のシックハウス対策法以降最も一般的に普及している、給気口と排気扇を組合わせたタイプの24時間換気での給気口とエアコンの位置関係は近い方が良いとされるのはこのためです。またエアコンは空調された空気をお部屋の隅々まで行き渡らせようと吹いてくれます。最近のエアコンは加湿してくれるものもありますが一般的なエアコンをお使いで冬場の乾燥対策として加湿器をお使いならエアコンの吹き出す風に蒸気が乗るような位置に加湿器を置くとその風に文字通り便乗して効率よくお部屋を加湿できます。お部屋の空気を動かすと、このようにいろいろ住まいにとって良いことがあるというわけです。
2021年 01月 04日
絶望と絶滅と希望
2020年 12月 13日