2021年 01月 18日
その14と電気とうっかり
その14 コンセントから火花
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建築を人体に例えると柱や梁といった構造躯体は骨格、床壁天井の仕上げは皮膚や髪の毛と言えるでしょう。そして電気配線はさしずめ神経系統、給排水配管は血管系統や消化器系統といったところでしょうか。神経系統を荒っぽく使えば麻痺が起こったり血管が詰まれば心筋梗塞や脳梗塞となって死に至ることもありますが建築も人体と同じです。危険にならないようにするにはどういうところに気をつけたら良いかこれから2回にわたって特に注意すべき設備面でのメンテナンスについてお話ししたいと思います。
まずは電気設備のうっかりミスは意外と危険なんですよということについて。みなさんはコンセントを差し込む際に火花がバチッと飛び散った経験はありますでしょうか。例えばドライヤーを使おうと思ってコンセントに挿したらバチッとなったとかです。この火花なんの理由もなく飛び散るものではありません。たいていは家電製品側、前述の場合ならドライヤーの電源スイッチがオンになっていたはずです。機器の電源スイッチをオンにしたままコンセントに挿すと急激に電流が流れて火花が出やすくなるのです。特に古い家電製品で起きやすいので気をつけてください。それから蛍光灯やLED電球長持ちするので放っておきがちですが長く使っているとたまに焦げ臭くなることがあります。取り替えてから数年でそうなることはありませんが10年くらい替えずに使っていたら要注意です。使い続けていると発煙する危険性もありますので1年に1回くらい大掃除の時などに合わせて点検をした上で点滅するなどの異常が見られたらすぐに取り替えましょう。できれば10年に1回は家中の電球をまとめて取り替えることをお勧めします。
2021年 01月 16日
その13と目地と基礎
その13 このひび、大丈夫?(その4)
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次に目地のひびについて。目地はサイディングの継ぎ目の他、外壁を室内まで貫通しているサッシやドア、換気口、配管類、さらには外壁に取付いた照明器具などの縁の隙間から雨水が入らないようにコーキングと呼ばれる弾力性の充填剤で目止めされた部分を指します。このコーキング材は油分を含んで材料にしっかり接着し水を弾いているのですが時間とともに油分が徐々に抜けて硬くなる性質があります。一般的な耐用年数は10年程度とされていますが紫外線や乾燥に大きく影響されるので場所によっては5年程度で劣化が見られる場合もあります。コーキング目地の劣化はひびとして現れますので目地にひびがあると要注意です。いずれ目地のやり替えをする必要があります。外壁の塗替えのタイミングで全ての目地もやり替えるのが一般的でその周期は10〜15年くらいが一つの目安です。
2021年 01月 14日
その12と外壁とつくり
その12 このひび、大丈夫?(その3)
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外部はできればご自身で定期的に点検することをお勧めします。ポイントは3つ。一つ目は外壁面、二つ目は目地、そして三つ目が基礎です。外部は日がよく当たる面や風雨に曝される面など面の条件で発生確率は大きく変わります。特に日当たりの良い面は紫外線や雨で濡れた後急激に乾燥するなど物理的な影響を受けやすいので重点的に点検してください。
ひびの話の前に、外壁のつくりについて説明しておきます。一般的に木造住宅の外壁は構造体の外側を透湿防水シートと呼ばれる薄膜で包みその外側に仕上げとなるサイディングやモルタル面があります。仮に仕上げ面にひび割れが生じてもその内側にシートがあるのですぐ室内に雨漏りすることはありません。仕上げ面はサイディングのような板状の材料かモルタル下地の上からリシンなどの仕上げ材を吹付けたり塗ったりするのが一般的です。サイディングには単に板状で継ぎ目(目地)にコーキングと呼ばれる目止め材を充填して止水するタイプと、鎧のように重ね継いで雨水の侵入を防ぐタイプに大別され、コーキング目地が少ないほど将来の雨漏りリスクは小さくなります(後ほど「目地」のところで詳述します)。モルタル吹付仕上げは下地のモルタル施工の仕方でひびのリスクが変わります。モルタルは水分を含んだ状態で塗られ乾くことで強固になり雨水の侵入を防ぎますが内装のひび同様、乾燥収縮でひびを生じさせるリスクがあります。近年では様々な技術的工夫によりひびの生じにくい工法が普及していますが旧来はモルタルの塗り厚も厚くなにかとひび割れが生じやすい外壁タイプでした。まず一つ目の外壁面のひびですがサイディング面であれば外力が加わったことが原因なので何かぶつけた心当たりが無ければ専門家に見てもらうことをお勧めします。モルタル吹付の場合は乾燥収縮によるものですので外壁の塗替えのタイミングを見計らって下地から補修するのが良いでしょう。大きいひびはやはり外的要因が考えられるので専門家に見てもらってください。
2021年 01月 12日
その11と弱いところと要注意
その11 このひび、大丈夫?(その2)
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一般的に木材は乾湿の影響を受けやすいため収縮によるひびが生じやすいです。2000年代に入って乾燥木材が普及したことで最近の住宅では木材がハゼる音も聞かなくなりましたが、それまでの住宅ではよく夜中にパシっと柱などから割れる音が聞こえたものです。これは柱梁に使われている木材が乾燥することで繊維(つまり長さ方向)と直行方向に収縮し部分的にひびが入る現象です。それを防ぐために柱などに最初から背割りという切れ込みを入れておいて乾燥収縮は全てそこで吸収させるようにしているのですが、なにぶん自然の材料ですのでそれでもたまに違うところに入ったりします。このように繊維方向のひび割れは材料の性質として了解の上で使用しているものですので基本的に心配いりません。乾燥が進み切ればそれ以上入ることもありません。さてひびというのは弱いところに入りますとお話ししました。例えば内壁で腰窓の四隅などは何もない面に比べて弱いのでジョイントと同じようにテープを貼ってパテでしごく補強をするのが一般的です。住宅の品質にかかわる法律等の充実により近年では窓やドアの幅に合わせて縦に目地を入れたりと新しい建築ほど念入りにひび対策を取るようになってきています。水平や垂直に入った髪の毛程度の幅のひびは下地のボードの乾燥収縮によるものと思ってよいでしょうが一方でずっと幅広だったりひびの両側で面がずれていたりそれから何もない面に斜めに入ったひびが生じていたらこれは要注意です。これらは乾燥収縮ではなく何か外力が働いた結果である可能性が高いからです。骨組みである構造材の変形に留つけてあるボードが追従できなくなって割れている可能性が高いからです。特に斜めに入っている場合は地震(水平方向の力)や地盤沈下(垂直方向の力)が原因かもしれません。このようなひびを見つけたら専門家に見てもらうことをお勧めします。
2021年 01月 10日