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知財と消しゴム購入と設計者選定

先週のことですが『知的生産者の公共調達の法改正ー会計法・地方自治法の改正ー』という公開シンポジウムのお手伝いをしました。東工大名誉教授で元日本建築学会会長、元日本建築家協会会長の仙田満先生がライフワークとして取り組んでおられる、入札で知的生産者の仕事を選定する現行の法制度を変える運動が、いよいよ正念場の局面を迎えています。


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以下フライヤーからの転載です。

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現代、我が国は、世界でもほとんど唯一、物と知的生産者の公共調達を同一の方法で原則選んでいる。そのため、多くの建築、公園、土木構築物、デザイン等が対価の多寡で競われる、いわゆる入札によって多く選定されている。それだけでなく、アーティスト、コンサルタントも極めて不合理な選定が行われている。これからの日本は知恵で勝負しなければならない。そうすることにより知的財産の質を高められ、その環境価値が高められる。経済的にも活性化し、美しい町、優れた文化がもたらされる。そのための法整備を早急に行う必要がある。日本学術会議の提言に基づく、多くの関係者の熱い議論と実行を期待したい。

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要するに現在自治体が設計やデザインを委託する際に消しゴムや鉛筆を買うように金額が一円でも安いところにその業務を発注しているからそんなこといつまでもしてると国際的に置いてかれるよと。いや既に置いてかれているんでしょうね。だいたいなんでそんなことになってるかというと、設計も消しゴムも物品購入というカテゴリになっていてその根拠が会計法や地方自治法だから、それらを根本的に改正してさすがに知的生産に関わる業務発注は金額ではなく質で委託先を選定する仕組みを確立しなければならないというわけです。そしてその端緒がようやくついたというわけ。

それにしてもこの問題の敵というのは実は意外と身内にいたりして厄介です。この運動はとりも直さず僕ら設計者の地位向上と生活の向上を目指していて入札制度がその障害になっているということなんだけどその入札制度がなくなると仕事がなくなるのでやめてくれという層が一定数いるため足並みが揃わない。つまり「質」で勝負できないと白旗宣言してしまっている層がブレーキをかけてしまうのです。難しいよね。確かに一方でなんでもかんでもプロポだコンペだとなると提案作成にお金がもらえるわけじゃないからウチみたいに体力のないところから疲弊して脱落していきます。さらにプロポやコンペは目立たないと選定されないことから極端な案が選ばれる確率が高く選定後に実現可能性が危ぶまれたりするトラブルが絶えないのも事実。質で選ぶには選ぶ方にも高い見識が必要となるので昨今の自治体技術職員不足による発注業務不全も大きな問題となります。知恵の絞りどころというわけです。


by uegaito | 2019-12-04 17:24 | 建築 | Comments(0)