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コンクリートと危ないと忘れ物を取り戻しましょうか

コンクリートが危ない』(小林一輔著、岩波新書)を改めて読んでる。99年の出版なのだけど、例えば最近の溶融スラグ混入した偽装コンクリートなどを予言してて怖いです。ていうかこの本を最初から読んでると、そういうこともさもありなんと思ってしまうほど、コンクリートとそれに関わる「人」との悩ましい関係があぶり出されてます。ウチでRCを設計監理する場合は構造家の厳しいご意見もあって打設前スランプ試験などに加えて単位水量も検査してるんだけど、これなんて初めてやったときに施工者とすったもんだしたもんです。施工する方はコンクリートをとても楽勝な材料と思ってるフシがあって、それをなんでそこまで心配するのかって。今だったらこの本読みなさいって言えるなあ。このブログでも何度か建築は人がつくるものだからとかコンクリートはローテクだって書いたけど、それはつまり、所詮は人がつくるんだから失敗しても許してねでは決して無く、工事ってのはそれほどナイーブでデリケートなのだと言うことを知って欲しいからなのです。施工側にもそれを自覚してて欲しい。現場の雰囲気が悪いともろにそういうのが結果に出ちゃう。施主・設計者・施工者が仲良し過ぎるのはもちろんまずいけど、必要以上にいがみ合うと良いことないと思うからなんですよね。たまに現場にふらっとやってきてガナリ散らして一方的な指示だけして帰る設計者が多いって職人さんが愚痴ってたの聞いたことあるけど、同じミスの指摘でも言い方一つで職人のモチベーションは乱高下するわけですから。最近の株価みたいに。話を本に戻すと、そういう人間関係の不具合がコンクリート工事に悪さをしまくってるみたいなので、やっぱり日本の発展は何か大事なモノを置き去りにしたままの極めて危ういものなんじゃないかって思いました。まる。
by uegaito | 2008-10-28 09:09 | 建築

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