2021年 01月 12日
その11と弱いところと要注意
その11 このひび、大丈夫?(その2)
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一般的に木材は乾湿の影響を受けやすいため収縮によるひびが生じやすいです。2000年代に入って乾燥木材が普及したことで最近の住宅では木材がハゼる音も聞かなくなりましたが、それまでの住宅ではよく夜中にパシっと柱などから割れる音が聞こえたものです。これは柱梁に使われている木材が乾燥することで繊維(つまり長さ方向)と直行方向に収縮し部分的にひびが入る現象です。それを防ぐために柱などに最初から背割りという切れ込みを入れておいて乾燥収縮は全てそこで吸収させるようにしているのですが、なにぶん自然の材料ですのでそれでもたまに違うところに入ったりします。このように繊維方向のひび割れは材料の性質として了解の上で使用しているものですので基本的に心配いりません。乾燥が進み切ればそれ以上入ることもありません。さてひびというのは弱いところに入りますとお話ししました。例えば内壁で腰窓の四隅などは何もない面に比べて弱いのでジョイントと同じようにテープを貼ってパテでしごく補強をするのが一般的です。住宅の品質にかかわる法律等の充実により近年では窓やドアの幅に合わせて縦に目地を入れたりと新しい建築ほど念入りにひび対策を取るようになってきています。水平や垂直に入った髪の毛程度の幅のひびは下地のボードの乾燥収縮によるものと思ってよいでしょうが一方でずっと幅広だったりひびの両側で面がずれていたりそれから何もない面に斜めに入ったひびが生じていたらこれは要注意です。これらは乾燥収縮ではなく何か外力が働いた結果である可能性が高いからです。骨組みである構造材の変形に留つけてあるボードが追従できなくなって割れている可能性が高いからです。特に斜めに入っている場合は地震(水平方向の力)や地盤沈下(垂直方向の力)が原因かもしれません。このようなひびを見つけたら専門家に見てもらうことをお勧めします。