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京都駅最終とビュッフェと原広司さん

思い出話の巻。結婚した翌年の95年頃から退社する前年の98年まで、前任を引き継いで京都府の日吉ダム関連の仕事を担当していたんだけどその間結構な回数を京都出張してまして、たまたまその頃に京都駅が建て替えてる最中だったもので一度だけ原広司さんと遭遇したって話。最終の新幹線で東京に帰るべく京都駅の改札を駆け込んだらなんと原さんが改札を通ってるじゃないですか!とは言え単なる團事務所のスタッフ風情が既にエスタブリッシュされきった大建築家に向かって声を掛けることなどあり得ないわけで、せめて生で見られたことを神に感謝して新幹線に乗ったわけです。大げさでしょ。夕飯を食べそびれて超空腹状態だったので当時はまだ辛うじて残っていたビュッフェ車両(涙)に行ったらあなた、なんとそこには原さんが一人で食事をしているじゃないですか。しかも他にお客さんはいない。これはもう、さすがにサインもらうしかないなって思って、超どきどきしながら近づいていって、あのう、原先生、と蚊の鳴くような声で話しかけました。なんだねキミは、僕は食事中なんだよと怒られるかなってビビってました正直なところ。僕はこの時点でというか後にも先にも原さんとお会いする機会なんて無くて、勝手に原さんは気むずかしい人だと決めつけてましたから。だってそういう風に見えるじゃないですか。そんなことないですか?そうですか。まあいいや。そしたら原さん、なんと、まあ座りなさいよ、と優しくおっしゃった!ビールまで下さったりして緊張しましたよ。何を話したか、あまり覚えていないくらい舞い上がっちゃったんだけど、一つだけとても印象に残っている言葉がありまして。原さんはいつも設計の細部まで自分で考え出すために事務所にいる時間が非常に長いって話を聞いて、なんでスタッフに任せないんですかって聞いた時、こう答えられたんです「それはひょうせつになるからダメなんだよ」って。剽窃ですね。無知な僕はお恥ずかしながらその言葉を知らず、聞き返してしまいました。原さん怒ることなく、つまり盗作ってことなんだよって優しく教えて下さって。バカだなあこいつって思われてただろうけど(汗)。いやあボキャ貧はさておいて、この言葉は衝撃的でした。なんて厳しく建築と向き合っている方なんだろうって。とてもじゃないけどニコニコとおはなししてちゃいけないというかこんなところで油売ってないで勉強しなければって背筋が凍ったよ。スタッフに細かいところの設計を任せるのも盗作になるってんだったら、世の中の大半の設計者は盗作になっちゃう。建築家というのはそのくらい細部にまで責任を持たないといけないんだということを、30歳そこそこの駆け出しの若造に暗に諭したんだろうと思うけど、その効果は計り知れませんでしたねえ。僕もこういうことをさらっと後進に言えるように頑張らねばと思いつつ未だにダメダメだね。言うのは言うようになったけどね。余計ダメじゃんね。たまにこうやってこの時の様子を思い出しながら自分を戒めてるってわけです。
by uegaito | 2011-12-07 22:09 | 建築

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