2011年 07月 21日
木質とボイラーと公共施設その5

ちなみに実施設計の初期段階の設備機械の配置はこのような感じでした。よくあるパターンですが、機械は機械ですから裏として隠すスタイルです。このままさあ詳細設計に入ろうかなという頃に、先ほどお話しをされた農林課の石井さんとお話しする機会があり、グリーンツーリズムの構想を熱く語られまして、そこから着想を得たというか、これは見せてしまうべきだと考え直して、このあたり(薪焚き温水器の置いてあるあたり)のつくりを一気に変更したわけです。標準色はオレンジ色のガシファイアーも、できれば建物全体のイメージに合わせてもらおうと色を指定させて頂き、真っ黒の、まるで機関車のようなガシファイアーが4台並ぶ壮観なボイラースペースと、ラウンジの延長の薪割りテラスが生まれた次第です。多分こうやってエンターテインメント的に扱っている事例もそうそうないのではないでしょうか。館内の床がほとんどタイルカーペットなのにラウンジの床だけ大判タイルなのは、薪割りイベントを想定した出入りの際に床が汚れてもいいようにというわけで変えている面もあります。設計のライブ感を感じていただけるエピソードかと思います。
以上、長々とお話ししましたが、だいたいおわかりいただけましたでしょうか。

実は先日の土日にも家族で鮫川村に来てまして、毎年この時期にはホタルを見に家族でお邪魔しています。もう4回目になりました。ホタルというのは全くの自然のままの水路では育たないのだそうですね。適度に人の手が入った、草刈りされた水路や農薬の影響のない田んぼなどに棲むんだそうです。荒れていた休耕田に大豆が植わることで際の水路に手入れが行き届くようになり、そしてこれからは田畑と山林の際の間伐や柴刈りが進むことで、どんどんホタルやトンボたちが増えていくんだと思います。こんな素晴らしい取り組みに幸せの循環システムの一施設の設計者として関われたことを、本当に嬉しく思っております。
ご静聴有り難うございました。
いやあやっと終わりましたね。ここまで作り込んで臨んだのに、原稿読めないとなると大事なポイントをぽろぽろ落としてしまって、自分のアドリブのきかなさ加減に超ブルーになった次第でした。そういうことで。
by uegaito
| 2011-07-21 16:24
| 建築