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木質とボイラーと公共施設その1

去る7/6に鮫川村村民保養施設さぎり荘にて開催された、阿武隈・八溝木質バイオマス協議会主催による『第3回木質バイオマス公開セミナー』にて、3人のスピーカーの一人として『公共施設における木質ボイラーの導入』についてお話しをさせて頂きました。ちゃんとお話しをしないとと思ってしっかり原稿を起こして臨んだのですが、会場に演台が無くて手元に原稿を置いてしゃべることができず、うろ覚えの中でお話しすることになってしまいまして、言いたいことを全部言えなかったと落ち込みましたので、せめてこのブログで原稿を全文掲載しておきたいと思います。なんか住吉さんの影響でしょうか。以下やたら長いので2回に分けることにします。まずは前半です。

ウエガイト建築設計事務所の上垣内です。今日は宜しくお願いします。「公共施設における木質ボイラーの導入」ということでお話をすることになっておりますが、お話しとしましては大きく3点、一つは公共施設で実施することの意味、もう一つは鮫川村で実施することの意味、そして本施設、さぎり荘の設計プロセスと木質ボイラー導入の過程について、設計者としての意見も交えてご説明させて頂きます。時間内にどこまでうまくお伝えできるか心配ですが、どうぞ宜しくお願いします。
まず、公共施設で薪ボイラーを導入する意味についてお話しします。その前に木質ボイラーという言葉ですが、今回本施設にも導入されているガシファイアーなどの小型のものは、設備設計的には薪焚き温水器と呼ぶそうで、ボイラーと呼んでしまうと消防署から危険物扱いされる誤解を生じますので、設計者としてはこのお話しの中でも敢えて薪焚き温水器と呼ばせて頂きます。紛らわしくてすみませんが、なんだボイラーがあるんじゃないかと突っ込まれる方が僕は恐ろしいので。。。
さて本題に戻ります。協議会の皆さんはご存じだと思いますが、サスティナビリティという言葉があります。サスティナビリティとは持続可能性、いつまでも続いていけることを意味します。いかに画期的なシステムであっても、いつまでも続いていけないとやっぱり意味はないと思います。木質ボイラーの中でも、設備が大げさで高額だと、どうしても2つ目、3つ目と普及していかない面があり、結局先細りになってしまうという懸念があろうかと思います。コロンブスの卵のように簡単であることが、サスティナブルな施設や社会づくりには結構重要だったりします。薪焚き温水器は、熱源としては化石燃料系のような地球環境へのインパクトも無く、また今回のような原発事故を契機とした電力不足に際しても動じない安定性があると思いますが、しかし重要なのは、他の熱源は供給システムとしての安定性が担保されているということで、薪焚き温水器についても燃料である薪の供給システムや温水器を動かすオペレーションのシステムが確立されていないと意味がないと思うんですね。これをいきなり民間でやるのは無理です。やはり薪の供給から温水器の設置、運転して活用するといった流れをまずは一通り作り上げないと、サスティナブルな道筋を構築しないと。「施設」という言葉には「建築」だけではなくてそれを取り巻く社会までも含んだ意味があると思います。公共施設をつくるということはそれを取り巻く社会ごとつくるということだろうと思います。薪焚き温水器にはまだまだそういう狭い意味での環境作りが不可欠で、だからこそ公共施設が率先すべきだと思うわけです。
次に鮫川村でそれを取り組む意味についてお話しします。これは完全に僕の推論ですので事実関係については後ほど懇親会ででも役場の皆さんに確認して頂きたいのですが、今回の薪焚き温水器導入の取り組みは、鮫川村ならではの下地があったからこそ実現したのだと思っています。それは、「まめで達者な村づくり」です。
村の皆さんには改めてご説明するまでもないですが、会場にはご存じない方もいらっしゃるかと思いますので簡単にご説明しますと、村内の休耕田に大豆づくりを奨励し、収穫された大豆は品質の優劣に関わらず一定価格しかも市場より高価で村が買い取り、その加工と販売を村が行って全体として利益を上げているというものです。副産物として村内の高齢者が元気になり、毎年この季節にはたくさんのホタルが舞う美しい里山風景が維持されています。とてもざっくりした説明でしたのでご理解頂けたか不安ですが、本題に戻ります。この、まめで達者な村づくりにおける幸せの循環システムですね。これこそコンパクトなサスティナブル社会の成功事例だと僕は思っていますが、見たところ今回の薪の調達・供給システムはまめで達者な村づくりの林業版ではないかと僕は理解しています。ある種の経営感覚というか、近江商人の「三方良し」に通じるビジネスセンスが下地にあったからこそ、恐らく全国初でしょうか、4台もの薪焚き温水器を敢えて導入する英断に踏み切れるのだと思います。

以下は次の投稿になります。しばらく時間をおいてアップすることにしますね。
by uegaito | 2011-07-11 22:18 | 建築
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