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限界集落株式会社とモデルと6次産業化の意義

久々に読書の話題。『限界集落株式会社』(黒野伸一著、小学館文庫)という小説を読んだ。とにかく読みやすくて面白くて途中で止められなくなっちゃって夕べ最後まで読み切ってしまった。関東近県の中山間地の寒村が舞台で、この村にある亡くなった祖父の家に何となく来た主人公が寒村の実情と接しているうちに思わず復興を宣言して農業で村を元気に戻す痛快逆転劇というのが大筋なんだけど、構成の妙と登場人物描写の魅力でとにかく最後まで惹きつけられました。東京からの距離感といい置かれていた実情といい、鮫川村になんとなく似ていたのも感情移入しやすかった理由かも。でもそれもそのはず、こういう村落は現在の日本にはおよそ1万箇所もあるそうだから。物語はテンポ良く進めるためか、ややトントン拍子というかご都合主義的な展開にも感じだけど(そんなうまくはいかないよなって)でもこれは心の底からそうなって欲しいという読者の想いでもあるから読んでいて心地よいよね。誰も小説読んで暗い気持ちになんかなりたくないもんね。純と愛じゃないんだから。そして何より驚いたのはこの小説には実在のモデルがあってそれが大変な成功をおさめているってこと。この本を買ったのは先週の水曜だったんだけど実際に読み始めたのは金曜くらいからかな。で夕べ読み終わってふと今朝テレビを見ていたらまさにそのモデルの農業法人(千葉の「和郷園」)が特集で紹介されたのでびっくり。なんだろうねこの符合。最近「会長島耕作」もこれからは農業ビジネスだ、みたいな展開になってて、先の見えなくなった新自由主義的なのがこぞって農業に雪崩れ込んでくる感じはあんまり歓迎したくないなって思うけど、でもこういう気運が頑張っている農村に世間の目を注目させて再評価してくれるのならそれもいいのかなと思ったり。原発事故でミソ付けられた鮫川村の立派な取り組みももう一度注目されるといいんだけど。そしてとにかく一過性のブームで終わらせないで欲しいね。景気よくなったらもういいや、ってのは最悪に軽薄だから。
by uegaito | 2013-10-15 13:34 | 読書

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