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読む時期と心拍総数ってみんな一緒と歌う教授

自宅を整理していたら12、3年前に買ったまま放置されていた『ゾウの時間ネズミの時間』(本川達雄著・中公新書)を発見して今ごろ読み出した。修業時代に同僚のカミジョーさんから教えてもらって買った本。当時東工大で教鞭をとってらっしゃった本川先生の講義は内容もさることながら「あること」でとても評判で、他大学どころか何の関係もない一般人まで紛れ込んで聴講しに来るほどの人気だったそうです。その「あること」とは、講義の最後に必ず先生オリジナルの歌を歌うこと。ほんとかよって感じですがほんとのはなし。でこの本のことね。人生(いきなりかい)巡り合わせってのがあるんだなあって思わず感じてしまう一冊ですね、今の僕には。文章の巧さもあるんだけど、動物界に大きなヤツから小さなヤツまでなんでこんなにバラエティに富んで存在するのかとか、行動範囲やエサを獲る行為への分析や言及がそのまま社会の構成理由や企業の大小存在理由なんかに被さってくるように受け取れるから面白い。大企業には大企業なりの役割があり、中小零細には中小零細なりの役割があるということが読みとれて経営者の人は勇気づけられるんじゃないかしら。そんで本川先生独特の皮肉的な分析も面白いです。例えば動物の生息密度と行動圏の各々の分析式から行動圏の中にいる(同種の)仲間の数を導く計算式を組んで、そこに人間を当てはめると平方キロメートルあたり1.4匹(人)しかいない計算になるらしく、実際の数字(1985年の日本の人口密度=320人/平方キロメートル)から見ると体のサイズからはじかれる適正密度の230倍で暮らしてることになるんだって。逆にこの密度で算出される体のサイズは体重たったの140グラムだそうです(汗)。「以前、日本人の住居をウサギ小屋と評した外人がいた。気を悪くした方も多かったと思うが、こうして計算してみると、あれでもまだ誉めすぎだったと言えないこともない。今の日本人の生活は、ウサギ小屋ならぬネズミ小屋暮らしというところか。」(同書より)。論理だって説明されると思わず納得してしまったりして。この本の最後にはもちろん譜面付きで先生のオリジナルソング『一生のうた』が載ってます。そういうことで。
by uegaito | 2009-04-03 10:55 | 読書

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